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休職に入って、数日が過ぎた夜。あるいは、退職日が決まって、荷物をまとめた帰り道。傷病手当金の申請書を机に置いたまま、ふと頭をよぎる。パートナーの扶養に入る手もあるのかな、と。スマホを開いて「傷病手当金 扶養に入る と どうなる」と打ち込んだ指が、少し止まる。
「傷病手当金をもらいながら、扶養に入れるんだろうか」
「入ったあとで、取り消しになったらどうしよう」
「ネットは『入れる』も『入れない』も出てきて、余計に分からない」
先のことまで細かく想像してしまう人ほど、お金の手続きは一歩ずつ確かめたくなります。それは慎重すぎるのではなく、ちゃんと自分の生活を守ろうとしている証拠です。
先に、いちばん知りたいところからお伝えします。扶養に入るかどうかを見るとき、傷病手当金は「収入」として数えられます。日本年金機構の案内にも、被扶養者の収入には健康保険の傷病手当金も含まれると書かれています(従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構)。つまり「もらっているから扶養に入れない」と決まるわけでも、「非課税だから関係ない」わけでもありません。僕は個別に「あなたは入れる、入れない」とは言えないので、制度の見方と、窓口で確かめる順番をまとめます。
人の表情や職場の空気を細かく拾って気疲れしやすい、HSP(Highly Sensitive Person/繊細な気質)の人は、休むところまで来たときには、心も体も使い切っていることが少なくありません。だからこそ、お金の見通しを先に知っておくことが、ひとつの支えになります。
この記事の要点
※この記事は制度の一般的な説明です。扶養に入れるか・いつから・いくら受け取れるかは、人ごとに異なります。最新の内容と個別のご事情は、加入先の健康保険の窓口でご確認ください。
扶養に入る、というのは、健康保険の「被扶養者」として認められることです。認められるかどうかは、パートナーなど扶養する側の健康保険が決めます。そのとき、傷病手当金をもらっていると、どうなるか。
先にひとつだけ。休職中で、会社の健康保険に入ったままのあいだは、自分が健康保険の被保険者なので、パートナーの扶養には入れません。日本年金機構の案内でも、被扶養者が「健康保険、船員保険の被保険者または共済組合、国保組合等の組合員になったとき」は削除(非該当)の届出をすると書かれています(従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構)。扶養を考えるのは、退職して今の健康保険の資格がなくなったあと、継続給付を受けながら、という場面です。
日本年金機構の案内では、被扶養者の収入について、こう説明されています。「被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれますので、ご注意願います。」(従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構)。
そのうえで、収入の要件は「年間収入130万円未満」(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)で、同居の場合は被保険者(扶養する側)の収入の半分未満であることも条件に入っています(同ページ)。傷病手当金をもらっている人は、この収入の中に傷病手当金を含めて数えられる。ここが、「扶養に入ればお金の心配がなくなる」と考えたときに、いちばん見落としやすい点です。
ただ、これだけで「入れない」と決まるわけではありません。130万円未満かどうかは、傷病手当金のほかの収入と合わせた、これからの見込みで見られます。次の節で、その「見込み」の中身を整理します。

もらってるだけで扶養にはもう入れない、ってこと…?
そう決まっとるわけやないんよ。「収入に数えられる」のと「入れない」のは別の話や。数え方は次の節で見ていこな。
ここで混乱しやすいのが、「傷病手当金は非課税と聞いたのに」という点です。国税庁のタックスアンサーでは、病気療養中に健康保険組合から支給を受けた傷病手当金について、「いずれも非課税所得であり、所得税は課されません。」と案内されています(No.1400 給与所得|国税庁)。
つまり、税金の計算では対象にならない。一方で、健康保険の扶養の判定では、先ほどの日本年金機構の案内のとおり収入に含まれます。同じ傷病手当金でも、税金の話と扶養の話では、物差しが別です。どちらかの情報だけを見て「扶養にも関係ない」と受け取ってしまうと、あとで食い違いに気づくことになります。
「非課税だから大丈夫」と思った自分を、責める必要はありません。税金と保険は別々の制度で、説明も別々のページに載っているだけです。一度ここで切り分けておけば、あとは扶養のほうの物差しだけを追えばよくなります。
扶養の判定で使う年間収入は、去年いくらもらったかではありません。日本年金機構の案内には、「年間収入とは、過去の収入のことではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。」と書かれています(従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構)。
ここから、確認しておきたいポイントが4つ見えてきます。
協会けんぽの案内には、支給額の計算例も載っています。標準報酬月額が平均17万円の例では、1日あたり3,780円になる計算です(傷病手当金|給付と手続き|協会けんぽ)。これはあくまで計算の例で、実際の額は人によって違います。ただ、1日あたりの額に、これから受け取る見込みの日数を掛けていくと、年間の見込みが大きくなることはあり得ます。「月にいくらだから大丈夫」と決めつけず、見込みの期間まで含めて数える。これが、扶養を考えるときの基本の見方です。
ここで僕が言えるのは、見方までです。実際に130万円未満と見られるのか、何を見込みに入れるのかは、扶養する側の健康保険が決めます。傷病手当金の支給決定通知書や、これからの見込みが分かる書類を持って、先に聞いておくと話が早く進みます。



見込みって、自分でも分からないよ…。いつ復帰できるかも決まってないのに。
分からんで当たり前や。分からん部分は、そのまま窓口に伝えたらええ。「いつまで続くか未定です」って言うところから、相談は始められるよ。
退職したあとも傷病手当金を受け取れる仕組みが、「資格喪失後の継続給付」です。協会けんぽの案内では、資格喪失の日の前日(退職日等)までに被保険者期間(任意継続被保険者、共済組合の組合員である被保険者または国民健康保険に加入していた期間を除く)が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日に現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けることができる、と説明されています(傷病手当金|給付と手続き|協会けんぽ)。
同じページには、こう続きます。「一旦仕事に就くことできる状態になった場合、その後更に仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません。」(同ページ)。
ここで押さえておきたいのは、順番です。退職後に扶養に入る手続きをする前に、継続給付をもらえる状態かどうかを確かめておく。協会けんぽのこのページに書かれている継続給付の条件は、被保険者期間と、資格喪失日の前日(退職日)に受けているか受けられる状態か、の2点です。扶養に入ること自体は、条件として出てきません。だから「扶養に入るかどうか」と「継続給付を受けられるかどうか」は、別々に確かめることになります。
ただし、加入していた健康保険が協会けんぽ以外の場合は、その保険者の案内が基準になります。傷病手当金の受け取りと、扶養に入る話を、同じタイミングで窓口に相談しておくと、すれ違いを減らせます。
退職後の健康保険は、扶養に入るだけが道ではありません。国民健康保険に入る、今の健康保険を任意継続する、という選択肢もあります。それぞれの比べ方は、国民健康保険 自己都合退職 払えない時はどうする?の記事で整理しています。傷病手当金と失業保険の順番が気になる方は、傷病手当と失業保険はどちらが先?もあわせてどうぞ。
任意継続を選ぶときには、ひとつ気をつけたい点があります。協会けんぽの案内には、「任意継続被保険者である期間中に発生した病気・ケガについては、傷病手当金は支給されません。」と書かれています(傷病手当金|給付と手続き|協会けんぽ)。いま受け取っている傷病手当金の続きと、任意継続の期間中に新しく起きた病気やケガは、扱いが違うということです。
確認する順番は、次の3つです。
休んでいるときは、窓口に連絡すること自体がしんどいものです。全部を一度に決めようとせず、今日は「傷病手当金の見込みの書類を手元に出す」だけでも、立派な一歩です。聞くことをメモに書いておけば、電話でも言葉に詰まりにくくなります。



電話するのも、正直しんどい…。
そらそうや。聞くことを3行だけメモして、それを読み上げるつもりでええ。一回で全部決めんでも、ええんよ。
扶養に入れるかどうかを見るとき、傷病手当金は収入に含まれます。日本年金機構の案内に、被扶養者の収入には健康保険の傷病手当金も含まれると書かれています。入れるかどうかは、これからの見込みの年間収入を含めて、扶養する側の健康保険が判断します(従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構)。
税金と扶養では、物差しが別だからです。傷病手当金は所得税が課されない非課税所得ですが(No.1400 給与所得|国税庁)、健康保険の被扶養者の収入には傷病手当金も含まれると案内されています(従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構)。
被扶養者の収入に傷病手当金が含まれるため、ほかの収入と合わせたこれからの年間の見込みで見られます。基準は原則として年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)で、同居の場合は扶養する側の収入の半分未満も条件です(従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構)。具体的にどう数えるかは、扶養する側の健康保険に確認してください。
協会けんぽの案内では、資格喪失後の継続給付の条件は、被保険者期間が継続して1年以上あることと、資格喪失日の前日に現に傷病手当金を受けているか受けられる状態であることです。扶養に入ることは、このページに条件として出てきません(傷病手当金|給付と手続き|協会けんぽ)。協会けんぽ以外に加入していた場合は、その保険者に確認してください。
国民健康保険に入る、今の健康保険を任意継続する、といった選択肢を比べることになります。比べ方は国民健康保険 自己都合退職 払えない時はどうする?で整理しています。任意継続の期間中に発生した病気・ケガは、傷病手当金の対象にならないとされているため、あわせて確認してください(傷病手当金|給付と手続き|協会けんぽ)。
支給の期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月とされています(傷病手当金|給付と手続き|協会けんぽ)。いつまで受け取るか未定でも、「傷病手当金を受給中(または申請中)で、復帰の時期は未定」と伝えて、扶養する側の健康保険の担当窓口に必要な書類を聞くところから始められます。
※この記事は制度の一般的な説明です。扶養に入れるか・受給の可否・時期・金額は人ごとに異なるため、最新の内容は加入先の健康保険の窓口でご確認ください。
この記事を書いた人|ハリピン(HSS型HSPとお仕事と私 運営者)
繊細な気質と向き合いながら「自分に合う働き方」を模索してきたHSS型HSP当事者。同じように仕事で悩むHSPさんへ、当事者の視点で発信しています。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断を行うものではありません。つらさが続くときは専門機関にご相談ください。


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このサイトの運営者・ハリピン(HSS型HSP)です。飲食店の店長から営業、東証一部上場(当時)の子会社で社長を5年、転職は6回以上。…で、いまはほぼ無職5年以上続けてます。社長まで行って無職、自分でもすごい振れ幅だと思うけど、これが、わりと本気で「全然オッケー」だと思ってます。 強みも弱みも、やってみないと分からないもので「接客は好きだけど、料理と在庫管理は苦手」って、飲食やって初めて知りました。英語もパソコンも苦手で試めてたことが、AIに助けてもらいながら少しずつできるようになってきた。——つまり、今この瞬間ダメでも、時間が経てば何かが変わるかもしれない。(無職期間も大事ってこと!) 僕がここでやりたいのは、“自分が死ぬ瞬間に自分の人生が「よかったな」と思える様になるキッカケを作ること”。正直、自分自身もまだ模索の途中で、全然偉そうなことは言えません。…でも、だからこそ同じ目線で考えれるかなと思ってます。 健康、睡眠、大事! 死ぬのだけは禁止で!
\ 最後まで読んでくれてありがとうございます /
しんどさの形は人それぞれですが、会社に籍を置いたまま休んで生活費を受け取れる制度があることは、知っておいて損はありません。
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