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夜の10時すぎ、ベッドの上でスマホを握ったまま天井を見ている。明日の朝の準備はもう済ませたのに、頭の中では「辞めたい」と「辞められない」が、さっきから同じところをぐるぐる回っている。
「まだ年度の途中なのに、辞めたいなんて無責任だよね」
「私が抜けたら、残った人たちが困るのは分かってる」
「せめて年度末まで頑張るのが、大人としての筋なんじゃないかな」
そんなふうに自分を責めながら、「年度途中 退職」と検索窓に打ち込んでいませんか?
結論から言うと、年度の途中で退職を考えることは、それだけで無責任ということにはなりません。法律の上でも、気持ちの上でも、「年度末まで待たなければ辞めてはいけない」と決まっているわけではないからです。
周りの空気や人の表情を人一倍細かく拾ってしまう、HSP(Highly Sensitive Person/繊細な気質)の人は、責任感が強いぶん、「迷惑をかけること」に対する痛みも大きくなりがちです。動けないのは、あなたが冷たい人だからではなく、周りのことをちゃんと考えている人だからです。
この記事では、「無責任」と感じてしまう気持ちの正体、年度途中で辞める時に法律がどう整理しているか、引き継ぎと伝え方、年度末まで待つかどうかの考え方までを、順番にお話しします。保育士や教員など、年度で区切る職場の方を中心に書きますが、一般の職場の方にも通じる内容です。
この記事の要点
年度の途中で辞めたいと思うことは、無責任の証拠ではなく、それだけ長く責任を背負ってきた証拠です。
「無責任かどうか」で悩んでいる時点で、あなたはもう、残る人の顔を一人ひとり思い浮かべています。本当に責任を投げ出したい人は、そこまで考えません。
では、この「無責任かも」という声の正体は何でしょうか。僕は、だいたい3つが混ざっていると思っています。
この3つに共通しているのは、どれも「あなたの事情」ではなく「周りへの気遣い」から出てきた声だということです。自分のしんどさが、いつの間にか順番の最後に回っています。
僕も昔、場の空気を読みすぎて何でも引き受け、抱え込んで潰れてしまった時期があります。あの頃は「ここで自分が抜けたら迷惑だ」とばかり考えて、自分の限界を後回しにしていました。振り返ると、迷惑を気にしていたつもりで、いちばん雑に扱っていたのは自分自身でした。

辞めたいって思うたびに、「逃げ」って言葉が頭に浮かぶんです…
浮かぶだけで、逃げと決まったわけやないよ。ここまで我慢してきた、その長さのほうを先に見てあげてな。
「年度途中だから辞められない」という決まりは、民法の条文には書かれていません。ただし、雇用の期間を定めているかどうかで、見る条文が変わります。
ここでは、e-Gov法令検索で公開されている民法の条文を確認できた範囲だけ、お伝えします。
民法627条1項は、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定めています。
つまり、期間の定めがない雇用(いわゆる正社員など)なら、条文の上では、申し入れた日から2週間で終了します。「年度末まで待ってから」という条件は、この条文にはありません。
なお、公立の学校や保育所で働く公務員の方は、民法ではなく任命権者の承認による辞職の仕組みになるため、勤務先の規則や人事担当の窓口で確認してください。
契約期間が決まっている(有期の)場合は、民法628条を見ます。「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」と書かれています。
同じ条文には続きがあって、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う、とも定められています。
何が「やむを得ない事由」にあたるかは、条文だけでは決まりません。心身の状態、働く条件、職場の状況など、個別の事情で変わります。ここで「自分は当てはまる/当てはまらない」と決めきることはできないので、次の窓口で確認するのが確実です。
総合労働相談コーナーは、解雇、賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせなど、あらゆる分野の労働問題を対象にしていて、全国に378か所あります(厚生労働省の案内による)。最終的な判断は、会社の就業規則や、こうした公的窓口で必ず確かめてください。
この記事は、「必ず辞められる」と保証するものではありません。条文は「出発点」で、実際の進め方は契約の中身で変わる、という前提で読んでくださいね。
年度途中の退職が「迷惑」になるかどうかを分けるのは、辞める時期よりも、引き継ぎの中身です。
「迷惑をかけたくない」という気持ちを、そのまま我慢に使ってしまうと、いつまでも辞められません。同じ気持ちを引き継ぎの準備に使うと、残る人の負担をちゃんと減らせます。
引き継ぎで、最低限これだけあれば助かる、という形を挙げます。
保育士や教員のように、子どもや保護者と直接やり取りする仕事では、「引き継ぎ書」に加えて、子ども一人ひとりの様子や保護者への連絡で気をつけてきたことを、短くメモにしておくと、後任の方も動きやすくなります。
ただ、ここで自分を追い込みすぎないでください。完璧な引き継ぎを作ってから申し出ようとすると、準備だけで何か月も過ぎてしまいます。引き継ぎは「完璧」を目指すものではなく、「次の人が最初の一週間を迷わない」ところまでで十分です。
人が抜けた後を整える責任は、本来、職場の側にもあります。あなたひとりが、組織の穴埋めを全部背負う必要はありません。



引き継ぎが終わらないまま辞めたら、やっぱり迷惑ですよね…
終わらせる努力をしてる人は、もう半分は責任を果たしとるよ。残りは「どこまで渡せたか」を言葉にして伝えるだけや。
年度途中で辞める時の伝え方は、「理由を細かく説明する」より「時期と引き継ぎの見通しを先に伝える」ほうが、話が通りやすくなります。
年度で区切る職場では、後任の手配やクラスの割り振りに時間がかかるため、早めに伝えるほど、職場側も動きやすくなります。いつ、誰に、どんな順番で話すかを、先に決めておきましょう。
引き留められた時に、感情が揺れるのは自然なことです。「あなたがいないと困る」と言われると、罪悪感が一気に戻ってきます。その時は、「気持ちは変わりませんが、引き継ぎは最後までやります」と、2つを分けて伝えると、話がぶれにくくなります。
言い方の例や、切り出す時の流れをもっと詳しく知りたい方は、退職の伝え方の記事も参考にしてください。
なお、すぐに口頭で言い出せない時は、先にメールや書面で「相談したいことがあります」と時間をもらうのも、一つの手です。伝え方に「正解」はひとつではなく、あなたが落ち着いて言える形が、いちばん続きます。
年度末まで待つかどうかは、「周りへの気遣い」ではなく「あなたの心と体がどこまで持つか」を先に置いて決めてください。
年度末まで待つのが合う人もいれば、待たないほうがいい人もいます。分かれ目は、次の問いに近いところで見えてきます。
期限が支えになっているなら、年度末までの計画を立てて、その間に次のことを少しずつ準備する選び方もあります。逆に、「あと数か月」を考えるだけで息が詰まるなら、待つこと自体が、いちばん大きな負担になっているサインかもしれません。
そして、辞めるかどうか自体がまだ決まらない人には、辞める以外の道もあります。一度休んで考える選択肢については、休職と退職のどちらを選ぶかの記事で整理しています。
どちらを選んでも、「間違い」はありません。年度末まで頑張ったから偉いわけでも、途中で辞めたから劣るわけでもなく、あなたの状態に合った時期を選べたかどうかだけです。
辞めたあとの生活や制度は、決めてから調べるのでも間に合いますし、調べるだけなら今日からでもできます。
辞めたあとの収入や手続きが不安で、決められない人も多いと思います。受給できるかどうかは人によって条件が違うので、ここでは断定しません。気になる方は、辞めたらもらえるお金の記事で、仕組みの全体像を先に見ておくと、不安が少し具体になります。
退職の進め方に迷う時は、社内の信頼できる先輩や上司、会社の産業医、社内の相談窓口、自治体のこころの相談窓口、そして前に紹介した総合労働相談コーナーなど、話せる先は一つではありません。
「こんなことで相談していいのかな」と思うかもしれません。年度の途中で辞めるかどうかを悩むほど考え込んでいる状態は、「こんなこと」ではありません。
※本記事は医療的な診断・治療を勧めるものではありません。つらさが続く時は専門機関へ相談してください。
年度の途中で辞めるだけで、無責任になるわけではありません。責任の果たし方は、辞める時期より、引き継ぎをどう進めるか、いつ伝えるかに表れます。罪悪感が強いのは、それだけ周りを思っている証拠でもあります。
人が抜ける以上、職場に負担が出ることは確かです。ただし、担当の一覧や今後の予定を渡し、早めに伝えることで、負担は小さくできます。後任の手配や穴埋めを整えるのは、職場の側の役割でもあるので、全部を自分で背負わなくて大丈夫です。
民法627条1項は、雇用の期間を定めていない場合、申入れの日から2週間で雇用が終了すると定めています。期間を定めた契約の場合は、民法628条の「やむを得ない事由」が関わります。実際にどうなるかは契約内容で変わるため、就業規則や総合労働相談コーナーで確認してください。
まず、就業規則に退職の申し出の時期が書かれていないかを確認してください。決まりがある場合は、それを踏まえて、後任の手配に時間がかかる職場ほど早めに伝えると、話し合いが進めやすくなります。時期に迷う時は、総合労働相談コーナーなどの公的な窓口にも相談できます。
先に「時期」と「引き継ぎの見通し」を決めておくと、言い出しやすくなります。理由の説明は「一身上の都合」で十分です。口頭が難しい時は、メールや書面で「相談したいことがあります」と時間をもらう方法もあります。
決め手は、あなたの心と体がどこまで持つかです。「あと数か月」が支えになるなら計画的に待つ選び方もあり、考えるだけで息が詰まるなら待つこと自体が負担のサインかもしれません。迷う時は、休職という選択肢や、公的な窓口への相談も含めて考えてみてください。
この記事を書いた人|ハリピン(HSS型HSPとお仕事と私 運営者)
繊細な気質と向き合いながら「自分に合う働き方」を模索してきたHSS型HSP当事者。同じように仕事で悩むHSPさんへ、当事者の視点で発信しています。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断を行うものではありません。つらさが続くときは専門機関にご相談ください。


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このサイトの運営者・ハリピン(HSS型HSP)です。飲食店の店長から営業、東証一部上場(当時)の子会社で社長を5年、転職は6回以上。…で、いまはほぼ無職5年以上続けてます。社長まで行って無職、自分でもすごい振れ幅だと思うけど、これが、わりと本気で「全然オッケー」だと思ってます。 強みも弱みも、やってみないと分からないもので「接客は好きだけど、料理と在庫管理は苦手」って、飲食やって初めて知りました。英語もパソコンも苦手で試めてたことが、AIに助けてもらいながら少しずつできるようになってきた。——つまり、今この瞬間ダメでも、時間が経てば何かが変わるかもしれない。(無職期間も大事ってこと!) 僕がここでやりたいのは、“自分が死ぬ瞬間に自分の人生が「よかったな」と思える様になるキッカケを作ること”。正直、自分自身もまだ模索の途中で、全然偉そうなことは言えません。…でも、だからこそ同じ目線で考えれるかなと思ってます。 健康、睡眠、大事! 死ぬのだけは禁止で!
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