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目覚ましが鳴る前に、もう目が覚めている。天井を見上げたまま体が動かない。歯を磨いて、着替えて、駅まで歩く——20代の頃は何も考えずにこなしていた朝の動作が、いまはひとつひとつ重たい。
「30代にもなって、フルタイムで働くことすらきついなんて。まわりはみんな普通にやってるのに」——通勤電車のなかで、そんな言葉が何度も頭を回っていないでしょうか。
先に結論をお伝えします。30代でうつ病を抱えながらフルタイムがきついのは、根性や覚悟が足りないからではありません。
うつ病では、意欲・集中力・判断力を支える脳の働きそのものが低下するとされています。朝がいちばんつらい「日内変動」や、思考や動作がゆっくりになる「精神運動制止」と呼ばれる状態が重なると、同じ8時間でも削られる量がまるで違います。そこにHSP(Highly Sensitive Person/繊細な気質)の傾向が重なれば、席に座っているだけで力が減っていきます。
この記事では、なぜ30代でフルタイムがきつくなるのかを整理し、無理を続けると何が起きるのか、辞めるか続けるかの二択にしない選択肢、「もう相談していい」と判断する目安をお伝えします。治療中の方も、診断はないけれど不調が続く方も、自分に近いところだけ拾ってください。
この記事の要点
※本記事は医療的な診断・治療を勧めるものではありません。つらさが続く場合は、医療機関・専門機関へのご相談をおすすめします。
同じフルタイムでも、30代のきつさは20代のきつさと質が違います。「昔はできていたのに」という比較が、そのまま自分を責める材料になるからです。
うつ病は気分が落ち込む病気だと思われがちですが、実際には行動を起こすための機能がまとめて落ちる状態だと説明されます。メールを1通返す、会議で発言する、次の作業に切り替える。無意識にできていた動作に、意識してかき集めた力が要るようになります。気合いが足りないのではなく、燃料が減った状態で以前と同じ距離を走らされているのです。
30代になると、任される範囲が自分の作業から他人の作業へ広がります。後輩の指導、進捗の管理、他部署との調整。作業量が同じでも、気を配る対象が増えると疲れの伸び方はまったく変わります。そこへ家庭や親の事情まで乗ってくる時期です。きつさの原因が勤務時間だけにあるとは限りません。
HSPは病名ではなく、刺激を人一倍深く処理しやすい気質を指す言葉です。電話の音、隣の席の空気、上司の表情のわずかな変化。周囲が気に留めないものを拾い続けているぶん、何もしていない時間も力が減っていきます。うつ状態と重なると、削られ方は足し算ではなく掛け算になります。同じ職場の人が平気そうに見えるのは、拾う情報の量が最初から違うからです。
「あと少し耐えれば慣れるはず」と言い聞かせて続けるほど、回復に必要な時間が削られていきます。平日は気力を前借りして出勤し、休日は寝て終わる。戻りきらないまま月曜が来て、また前借りする。借りた量だけが静かに増えていきます。
やがて、朝の身支度に手がつかない日が出てきます。得意だったはずの作業でミスが増える。「働けているか」ではなく「働いたあとに何も残っていない」が続いているなら、それはもう限界のサインです。
厄介なのは順番です。限界を自覚した頃には、辞めることも休むことも「決めるための気力」がもう残っていません。判断力が落ちているときほど、今のまま続ける以外の道が見えなくなる。選択肢を眺めておくのは「限界が来てから」では遅いのです。
しんどい時って、選択肢を調べる気力から先になくなるんよな。せやから、決めんでええから「知っとくだけ」でええと思うよ。


今すぐ辞めると決めなくて大丈夫です。ただ、体力が残っているうちに「働き方を変える道もある」と知っておくだけで、気持ちの余白は変わります。働き方を見直すときの選択肢をまとめたページから、今の自分に近いところだけ眺めてみてください。
選択肢は「このまま続ける」か「辞める」の二択ではありません。その間に、負荷を下げる段階がいくつもあります。
| 今の状態 | 先に検討したい選択肢 |
|---|---|
| 働けてはいるが、帰宅後は何もできない | 残業の上限を決める/勤務時間・通勤の調整を相談 |
| 特定の業務・特定の人に消耗が集中している | 業務分担の変更・部署異動の相談 |
| 朝、出勤の準備に手がつかない日がある | 主治医・産業医への相談/休職制度の確認 |
| 環境を変えても戻らない | 時短・在宅などフルタイム以外も含めた見直し |
全部を一度に変えようとすると、変えるための気力が足りず動けなくなります。この1週間でいちばんへとへとになった場面を1つだけ書き出す。朝の通勤か、午後の会議か、特定の人とのやりとりか。「フルタイムがきつい」を「この場面がきつい」まで分解できると、相談すべき相手も見えてきます。
限界まで我慢してから退職を選ぶと、収入が途切れた状態で回復に取り組むことになります。就業規則の休職制度、産業医面談、傷病手当金といった仕組みは、使うかどうかは別として元気なうちに存在だけ知っておくほうが楽です。多くは自分から申し出ないと動き出さないからです。
なお、年齢や病名を抜きにして「そもそもフルタイムという働き方がしんどい」と感じている方は、HSPにフルタイムはきついと感じたときの体験談もあわせてご覧ください。
「きつい」と感じるすべてが、すぐに受診を要するわけではありません。ただ、次のような状態が重なっているなら、一人で抱え込まず相談する目安になります。
| セルフケアで和らぐ範囲 | 専門家に相談したいサイン |
|---|---|
| 週末に休めば、月曜には動ける | 休んでも抜けず、休日も横になって終わる |
| 気は重いが、身支度や出勤の準備はできる | 起き上がることや身支度自体が難しい日がある |
| 眠りは浅いが、食事はとれている | 眠れない・食欲がない状態が2週間以上続く |
すでに治療中の方は、「続けられそうか」を自分だけで判断せず、主治医に働き方の相談をしてみてください。勤務時間の調整や休職の必要性は、体調を診ている人と一緒に決めたほうが後悔しにくくなります。
※本記事は医療的な診断・治療を勧めるものではありません。つらさが続く場合は、医療機関・専門機関へのご相談をおすすめします。厚生労働省の相談窓口案内「まもろうよ こころ」から話しやすい方法を選ぶこともできます。
甘えではありません。うつ病では意欲や集中力を支える脳の働きが低下するとされ、気持ちの持ちようだけで補えるものではありません。「続かない」のは、いま使えるエネルギーと負荷が釣り合っていないサインです。
30代は、後輩の指導や進捗管理など「気を配る対象」が一気に増える時期です。負荷が上がるタイミングと体調の不調が重なれば、きつくなるのは自然なことです。まわりが平気そうに見えるのは、抱えているものが見えていないだけです。
体調や職場環境によって大きく異なるため、一律にはいえません。ただ、業務分担の変更・残業の上限設定・部署異動といった調整で負荷が下がり、働き続けている人もいます。「続けられるか」より先に「何を減らせるか」を相談してみてください。
病状を必ず伝えなければならない決まりはなく、勤務時間や通勤の負荷など「続けやすさ」を軸に選び直すことはできます。不利かどうかを考え込む前に、いまの職場で減らせる負荷が残っていないかを先に確認してみてください。体調が不安定な時期に大きな決断を重ねると、気力まで削られます。
※本記事は医療的な診断・治療を勧めるものではありません。つらさが続く場合は、医療機関・専門機関へのご相談をおすすめします。
回復の目標を「以前と同じ働き方に戻ること」に固定すると、少し良くなった時点でまた同じ負荷をかけてしまいます。大事なのはフルタイムに戻ることではなく、続けられる働き方を見つけることです。働く量を一段落としたことで体調が安定し、そのまま長く働けるようになる——そういう戻り方もあります。
まずは1つだけ。今週いちばんへとへとになった場面を書き出すところから始めてみてください。
この記事を書いた人|ハリピン(HSS型HSP当事者)
繊細な気質と向き合いながら、働き方と体調のバランスを模索してきたHSS型HSP当事者。「まわりと同じように働けない」しんどさを経験してきた立場から、無理をしすぎない働き方を発信しています。
※この記事は2026年8月に公開しました。


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このサイトの運営者・ハリピン(HSS型HSP)です。飲食店の店長から営業、東証一部上場(当時)の子会社で社長を5年、転職は6回以上。…で、いまはほぼ無職5年以上続けてます。社長まで行って無職、自分でもすごい振れ幅だと思うけど、これが、わりと本気で「全然オッケー」だと思ってます。 強みも弱みも、やってみないと分からないもので「接客は好きだけど、料理と在庫管理は苦手」って、飲食やって初めて知りました。英語もパソコンも苦手で試めてたことが、AIに助けてもらいながら少しずつできるようになってきた。——つまり、今この瞬間ダメでも、時間が経てば何かが変わるかもしれない。(無職期間も大事ってこと!) 僕がここでやりたいのは、“自分が死ぬ瞬間に自分の人生が「よかったな」と思える様になるキッカケを作ること”。正直、自分自身もまだ模索の途中で、全然偉そうなことは言えません。…でも、だからこそ同じ目線で考えれるかなと思ってます。 健康、睡眠、大事! 死ぬのだけは禁止で!