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配達先へ向かう交差点の赤信号。止まっている間もエンジンの振動が太ももにずっと伝わっていて、耳元は風とエンジン音でいっぱいで、後ろから車が近づく気配にふと気づくたびに、心臓がきゅっと縮む。今日は何件配達できたかより、無事に会社まで戻れるかどうかで頭がいっぱいだった。そんな一日を、何度も繰り返していませんか。
「バイクに乗る仕事のはずなのに、正直バイクが好きじゃない」
「周りは『バイク楽しいよね』って言うのに、私だけ毎回どっと疲れてる気がする」
「こんなに苦手意識があるなんて、この仕事に向いてないのかな」
結論からお伝えします。バイクに乗ること自体が好きじゃないのは、気合が足りないからでも、この仕事への向き不向きのすべてを決めるものでもありません。HSP(Highly Sensitive Person、繊細さんと呼ばれる感覚処理感受性の高い人)にとって、バイクという乗り物そのものが、エンジン音・振動・風圧・常時の危険察知といった刺激のかたまりになりやすいことが、大きく関係しています。
これは心理学で「感覚処理感受性(Sensory Processing Sensitivity)」と呼ばれる、生まれつきの気質特性に関わる話で、性格や慣れの問題だけではありません。運転が下手だから怖いのではなく、同じ刺激を人一倍深く受け取って処理するために、同じ距離を走っても消耗の度合いが違ってくるのです。
この記事では、「バイクの仕事なのにバイクが好きじゃない」と感じてしまう理由から、無理せず続けるための工夫、それでも辛いときの考え方まで、順を追ってお伝えします。
この記事の要点
バイクという乗り物は、他の移動手段に比べて感覚に入ってくる刺激がとても多い乗り物です。エンジン音、路面から伝わる振動、走行中の風圧、排気の匂い、天候の変化をそのまま受ける肌感覚。そして何より、車体一つで道路上に投げ出されている以上、常に周囲の車や歩行者の動きを察知し続けなければなりません。
バイクが好きじゃないと感じる背景には、この「常時いくつもの刺激を同時に処理し続ける乗り物である」という事実そのものが関係していることがあります。好きで乗っている同僚は「気持ちいい」「爽快」と感じる同じ風や音を、HSPの脳は人一倍深く処理しようとするため、爽快感より先に「情報量の多さ」として受け取ってしまいやすいのです。
提唱者であるアーロン博士(Elaine N. Aron)によると、HSPは「感覚処理感受性」と呼ばれる気質特性を持ち、その特徴は博士が2010年に整理した「DOES」という4つの要素(深く処理する・刺激を受けやすい・感情反応が強く共感力が高い・些細な刺激に気づきやすい)で説明されており、周囲の刺激や人の感情の変化を人一倍深く処理する傾向があるとされています。
出典:エレイン・N・アーロン博士 公式サイト「The Highly Sensitive Person」(hsperson.com)
たとえるなら、常に周りの音量を上げたまま運転しているような感覚です。他の人には「普通の走行音」でも、HSPの耳と神経は無意識にボリュームを上げて拾ってしまう。同じ距離を走っても、受け取っている情報量が違うので、疲労の出方も変わってきます。運転が下手なわけでも、慣れが足りないわけでもなく、同じ刺激を人一倍深く受け取って処理しているだけなのです。
「そのうち慣れるはず」「みんな平気なんだから、自分もそのうち好きになれるはず」。そう自分に言い聞かせて、苦手意識を飲み込んだまま乗り続けている人は少なくありません。しかし、好きではないものを「好きなふり」で乗り続けることは、じわじわと消耗を積み重ねていく行為でもあります。
バイクが好きじゃないのを我慢して乗り続けるのは、常に緊張を強いられる状態を「平気なふり」で乗り切り続けることに近く、気づかないうちに疲労と警戒心だけが積み上がっていきます。それは根性が足りないからではなく、刺激を受け止め続けるための余力が、少しずつ削られているだけです。

わかってるよ、仕事だから仕方ないってことは。でも毎回「今日も無事に帰れますように」って念じながら乗ってる自分に、正直ちょっと疲れてる…。
その緊張感、ずっと持ったまま乗ってるんやったら、そら疲れて当然やで。好きになろうと無理せんでもええから、まずは「疲れてる自分」を認めてあげてな。
「好きになれない自分はおかしいのかな」と感じる必要はありません。バイクが好きじゃないというのは、乗り物との相性の話であって、あなたの頑張りが足りていないということではないからです。
ここからは、バイクが好きじゃないと感じながらも、今の仕事を続けていく上で負担を減らせる工夫を紹介します。すべてを一度に変えようとせず、できそうなものから試してみてください。
まず前提として、刺激を「入ってくる前に減らす」工夫が、HSPには一番効果的です。意志の力で我慢するより、環境側の刺激そのものを小さくする方が、消耗を防ぎやすいからです。
それでも、こうした工夫を重ねてもなお、バイクに乗る日が来るたびに気が重くなる、消耗が抜けきらない、という状態が続くこともあると思います。そんなときは、工夫だけでなく、もう一歩手前の選択肢についても考えてみてよい時期かもしれません。
バイクがそんなに好きやなくても、無理して「好きにならなあかん」って思わんでええんやで。乗り物の相性は人それぞれやから、自分に合う働き方を探すこと自体、全然悪いことちゃうよ。


バイクが好きじゃないまま無理して乗り続ける必要はありません。「今すぐ転職」ではなくても、今の職場以外にどんな選択肢があるのか、”まず知っておく”だけで、心はずいぶん軽くなります。
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工夫を重ねても、バイクに乗る日が来るたびに気が重くなる状態が何ヶ月も続いているなら――それは、気持ちの持ちようだけで解決できる範囲を、すでに超えているサインかもしれません。
「バイクが好きじゃない」は、根性がないのではなく、乗り物との相性が合っていないだけです。好きになれないものを好きなふりで乗り続けるより、自分の気質に合う移動手段・働き方を選び直すことは、逃げではなく、まっとうな選択肢の一つです。
具体的には、以下のようなことから考えてみるのも一つの方法です。
「自分だけバイクを好きになれないなんて」と、自分を責める必要はありません。乗るたびに消耗してしまうという事実そのものが、働き方を見直すのに十分な理由になります。
バイクが好きじゃないのに仕事で乗る必要がある方から、よく寄せられる質問にお答えします。
耳栓など防音・防振の装備を見直す、混雑を避けたルートに変更してもらう、こまめに休憩を挟むなど、刺激そのものを減らす工夫で負担が軽くなることがあります。「バイクが得意ではない」と早めに周囲へ伝えておくことも、業務調整につながりやすい方法の一つです。
おかしいことではありません。HSPの場合、エンジン音や振動、常に周囲を警戒し続ける緊張感といった刺激を人一倍深く受け取りやすいため、バイク通勤そのものが負担に感じられやすいと言われています。慣れの問題というより、気質による感じ方の違いです。
「辞めるべきかどうか」を焦って決める必要はありません。まずは装備やルート、休憩の取り方といった工夫で負担が減らせないかを試してみて、それでも消耗が続くようなら、バイクを使わない業務や他の仕事への変更を検討する、という順番で考えてみてください。
甘えではありません。バイクは音・振動・風圧・危険察知など、他の移動手段より受け取る刺激が多い乗り物です。乗りたくないと感じるのは、気質と乗り物の相性の問題であって、仕事への意欲や努力の量とは別の話です。
バイクに乗る仕事なのにバイクが好きじゃないと感じるのは、あなたの頑張りが足りないからではありません。HSPとして、エンジン音・振動・風圧・危険察知といった刺激を人一倍深く受け取ってきた結果です。まずは装備やルート、休憩の取り方といった小さな工夫から負担を減らし、それでも辛さが続くなら、バイクを使わない働き方や仕事を選び直すという選択肢が、あなたにはあります。
この記事を書いた人|ハリピン(HSS型HSP当事者)
繊細な気質と向き合いながら「自分に合う働き方」を模索してきたHSS型HSP当事者。同じように仕事で悩むHSPさんへ、当事者の視点で発信しています。


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このサイトの運営者・ハリピン(HSS型HSP)です。飲食店の店長から営業、東証一部上場(当時)の子会社で社長を5年、転職は6回以上。…で、いまはほぼ無職5年以上続けてます。社長まで行って無職、自分でもすごい振れ幅だと思うけど、これが、わりと本気で「全然オッケー」だと思ってます。 強みも弱みも、やってみないと分からないもので「接客は好きだけど、料理と在庫管理は苦手」って、飲食やって初めて知りました。英語もパソコンも苦手で試めてたことが、AIに助けてもらいながら少しずつできるようになってきた。——つまり、今この瞬間ダメでも、時間が経てば何かが変わるかもしれない。(無職期間も大事ってこと!) 僕がここでやりたいのは、“自分が死ぬ瞬間に自分の人生が「よかったな」と思える様になるキッカケを作ること”。正直、自分自身もまだ模索の途中で、全然偉そうなことは言えません。…でも、だからこそ同じ目線で考えれるかなと思ってます。 健康、睡眠、大事! 死ぬのだけは禁止で!
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