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「同じことを、また聞いてしまった……」
「メモを取ったはずなのに、書いた内容ごと忘れてる」
「新人でもないのに、まだ覚えられないなんて、私どこかおかしいのかな」
何度説明を受けても、次の日にはもう抜け落ちている。そのたびに、申し訳なさと情けなさで、下を向いてしまっていませんか。
結論から言うと、「仕事を覚えられない」こと自体は、医学的な病名ではありません。ただし、その裏側に、指示や情報を人一倍深く受け取ってしまう気質が関わっていることはあります。
覚える力が無いのではなく、指示を受け取っているその瞬間、頭の中がすでに別の情報でいっぱいになっていることがあります。HSP(エイチエスピー、Highly Sensitive Person=とても繊細な気質を持つ人)は、この「情報の受け取り方」に特徴がある気質です。この記事では、その仕組みと、病気として心配すべきサインの見分け方、当事者としての体験を、ハリピンがお伝えします。
この記事の要点

また同じこと聞いてもうた……。何回説明されても頭に残らへんの、なんでなんやろ。
せやな、その気持ちようわかるで。せやけど「覚える力が無い」んやなくて、情報の受け取り方に理由があることが多いんよ。ここから一緒に見ていこか。
検索して出てきたのは、発達障害や適応障害の解説ばかりだったかもしれません。読めば読むほど「自分もそうかも」と不安になる一方で、「言い切れる感じもしない」と、余計にもやもやしませんでしたか。
それもそのはずで、医学で使われる診断名の中に「仕事を覚えられない病気」という項目はありません。「覚えられない」は病名ではなく、緊張・情報過多・気質など、いくつかの原因が同じ見た目で表に出てきた”結果”です。
提唱者であるアーロン博士(Elaine N. Aron)によると、HSPは「感覚処理感受性」と呼ばれる気質特性を持ち、その特徴は「DOES」という4つの要素(深く処理する・刺激を受けやすい・感情反応が強く共感力が高い・些細な刺激に気づきやすい)で説明されており、周囲の刺激や人の感情の変化を人一倍深く処理する傾向があるとされています。
出典:エレイン・N・アーロン博士『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』
深く処理するということは、指示を聞いている間にも、声のトーンや相手の顔色、「ちゃんと理解できてるふりをしなきゃ」という自分の気持ちまで、同時に拾ってしまうということです。同じ説明を受けても、受け取る情報量そのものが多いぶん、肝心の”手順”が埋もれてしまう。覚える気がないわけでも、能力が低いわけでもありません。
ここからは、覚えにくさが起きやすい”瞬間”を3つに分けます。
| パターン | 起きやすい瞬間 | 頭の中で起きていること |
|---|---|---|
| ①同時処理オーバー型 | 複数の指示を一度に受けた時 | 全部を漏らさず覚えようとして、逆にどれも定着しない |
| ②緊張漏れ型 | 人前や、叱られた直後 | 「ちゃんとしなきゃ」の緊張で、聞いた内容がその場から抜けていく |
| ③空気読みすぎ型 | 相手の顔色をうかがいながら聞いた時 | 説明の内容より「変に思われてないか」に意識が向いている |
3つに共通しているのは、能力ではなく「聞いている最中に、意識が他のことへ分散してしまう」ことです。分散している先が分かれば、対策の的も絞れます。
僕自身、昔は自分のことを「覚えが悪いやつ」やと本気で思ってた時期がある。せやけど今振り返ると、覚える力が無かったんやなくて、場の空気を読みすぎて何でも引き受け、抱え込みすぎてたんよ。
指示を聞いてる最中も、頭の半分は「ちゃんと分かってるふりせな」「また聞いたら迷惑かな」でいっぱいで、肝心の中身が入ってくる隙間があらへんかった。覚えにくさの裏に、”聞く以外のことで頭がいっぱいになってる”状態が隠れてることがあります。
それに気づいてからは、分からんことはその場で確認するようにした。それだけで、悩む時間がだいぶ減った。
ここまで気質の話をしてきましたが、気質だけで説明してはいけない状態もあります。ここだけは線を引かせてください。
| 気質の範囲(工夫で和らぐ) | 専門家に相談したいサイン |
|---|---|
| メモを取れば、あとで思い出せる | メモを取っても、数分後には内容ごと忘れている |
| 緊張する場面だけ聞き逃しが増える | 静かな場面でも、指示がまったく頭に入らない日が続く |
| 疲れている時だけ覚えにくい | 眠れない・食欲がない状態が続いている |
| 慣れた作業は問題なくできる | 以前できていた作業の手順まで、思い出せなくなった |
右側にいくつも当てはまる場合、気質の工夫だけでは説明がつかないかもしれません。ADHD(エーディーエイチディー、注意欠如・多動症)などの特性が背景にある可能性もありますが、これは医師の診察でしか判断できません。自己判断でラベルをつけず、心療内科や精神科、あるいは会社の産業医に相談してください。
覚えにくさそのものより、「この職場でこれ以上失敗できない」という緊張が、覚えにくさを何倍にもしていることもあります。今の環境が、自分の特性に合っていないだけかもしれません。
覚え方の工夫も大事やけど、環境が合ってへんかったら、そもそも力を出しにくいこともあるからな。


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体のサインが当てはまらなかった人へ。覚える力を底上げする方法ではなく、覚えにくくなる瞬間そのものを減らす工夫を3つ挙げます。
どれも「気合で覚える」ための策ではなく、「聞いている最中の頭の中を空ける」ための策です。
「仕事を覚えられない病気」という診断名はありません。覚えにくさの背景には、緊張・情報過多・HSP気質などいくつかの理由が考えられます。※本記事は医学的な診断を行うものではなく、気質の傾向についての一般的な説明です。強い困りごとが続く場合は医療機関や専門機関へ相談してください。
決めつける必要はありません。「覚えられない」だけで疾患が確定するわけではなく、多くの場合は情報の受け取り方のクセです。ただし、体や心のサイン(本文の表の右側)が続く場合は、自己判断せず専門家に相談してください。
大きく分けると、複数の指示を同時に処理しきれない「同時処理オーバー型」、緊張で聞いた内容が抜ける「緊張漏れ型」、相手の反応が気になって説明に集中できない「空気読みすぎ型」の3パターンがあります。
「仕事を覚えられない人 病気」という診断名はありません。けれど、覚えにくさに理由がないわけでもない。病名を探す代わりに、自分がどの瞬間に情報を取りこぼしているかを1つ知るだけで、そこに手を打てます。
同時処理オーバーか、緊張漏れか、空気読みすぎか。今日いちばん心当たりがあった1つだけ持ち帰ってもらえたら十分です。体や心のサインのほうが当てはまっていたなら、覚え方の工夫より先に、専門家に一度話してみることを選んでください。
この記事を書いた人|ハリピン(HSS型HSP当事者・サイト運営者)
刺激は欲しいのに人一倍疲れやすいHSS型HSP当事者。場の空気を読みすぎて何でも引き受け、抱え込みすぎて心身を崩した経験から、少しずつ働き方を見直してきました。「HSPとお仕事と私」では、”覚えられない自分”を責めてきた方へ当事者の視点で発信しています。
※この記事は2026年8月に公開しました。


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このサイトの運営者・ハリピン(HSS型HSP)です。飲食店の店長から営業、東証一部上場(当時)の子会社で社長を5年、転職は6回以上。…で、いまはほぼ無職5年以上続けてます。社長まで行って無職、自分でもすごい振れ幅だと思うけど、これが、わりと本気で「全然オッケー」だと思ってます。 強みも弱みも、やってみないと分からないもので「接客は好きだけど、料理と在庫管理は苦手」って、飲食やって初めて知りました。英語もパソコンも苦手で試めてたことが、AIに助けてもらいながら少しずつできるようになってきた。——つまり、今この瞬間ダメでも、時間が経てば何かが変わるかもしれない。(無職期間も大事ってこと!) 僕がここでやりたいのは、“自分が死ぬ瞬間に自分の人生が「よかったな」と思える様になるキッカケを作ること”。正直、自分自身もまだ模索の途中で、全然偉そうなことは言えません。…でも、だからこそ同じ目線で考えれるかなと思ってます。 健康、睡眠、大事! 死ぬのだけは禁止で!